美味しいチョコレートをつくるからには、
いつかはカカオ豆からつくりたい。
とは、つねづね考えていた。

ボリビアで出逢った青年に、
その想いを託してみたくなった。

カカオ農家としてのチャンスを前に
持てる限りを尽くすひたむきな姿勢に胸打たれ、
green bean to bar CHOCOLATEとも共鳴する価値観を見た。

そして、次の訪問先であるブラジルに彼を呼んだ。
腹を割ってみると、堰をきったように
彼の想いが溢れてきた。

2019年に、カカオ産地のひとつである南米を訪れた。旅のなかでおよそ200人ほどに会ったが、ボリビアの小さな農園をひとりで営む青年、アブラハムに可能性を感じた。直感だった。
その後ペルーを訪れ、世界一の農園を眼前にしながらも、どうしても彼のことが気になっていた。そこで次に訪れる予定のブラジルに、彼を招くことにした。

ブラジルでの目的のひとつは、ジュリアナという女性が営むカカオ農園だ。80年代には世界一のカカオ生産地だったブラジルだが、その後起こったバイオテロにより、ほとんどの農園が死んでしまった。一時は瀕死におちいったカカオ産業を、彼女はなんとか復興させようとしていた。

green bean to bar CHOCOLATEの基準に足る品質のカカオ豆は、世界に3パーセントほど。彼女の農園はその基準を満たすほどに成長し、小さな成功モデルを打ち立てていた。まっさらな状態からのリスタート。それが逆に功を奏し、「せっかくなら高品質なカカオを」と、当時じわじわと熱を帯びていたビーントゥバーの製法にも身軽にアクセスできたことが、成長を加速させたのだろう。

アブラハムをそこに呼ぶことにした理由は、同じように家族単位で運営している小さな農園だったから。その実情とやり方を見てもらおうと思ったのだ。

彼が到着すると、一緒にカカオをつくりたいという気持ちをありのままにぶつけた。綺麗に整えられた家に、自分たちが大切にしている価値観を見たこと。前日の夜中に巨大ナマズを捕りに行き、もてなしてくれたことに胸を打たれたこと。なにより、かすかなチャンスに賭けようとした気概に感動したこと……。すると、今度はアブラハムが話しはじめた。

実は彼はあの時、農園を辞めようと思っていたという。これまで10年以上もカカオに関わる仕事をしてきたが、ことごとく失敗し、一緒に働く者もおらず、これ以上やり方もわからない。お金も入らなくなり、いよいよ続ける術がなくなってしまった。そんな時、アジア人とカカオの専門家が来ると聞いて、カカオ農家としての転機を賭け、もてなしを考えた。

ブラジルに誘われた時、ちょうど子どもが生まれたばかりだったため、行くのも迷ったが、妻と母が送り出してくれた。パスポートや携帯電話を持つのも初めてで、正直怖い。それでも、いままでやってきたことが正しいのかどうか、この先どうすればいいのかを確かめるために飛び込んだ、と。

お互いの胸のうちをすっかり明かし、おいおいと泣きながら抱き合った。あとから考えると、ドラマのような光景だった。

アブラハムには、ジュリアナの農園で学びつつ、自身の農園を育てていくことことを提案した。資金を投入して設備を整えれば、てっとり早く優れたカカオ農園をつくることもできるかもしれない。でも、それはしたくなかった。現地の文化や経済状況を知るほどに、その選択肢は自然となくなっていった。
(つづく)

 
 
 
 

中目黒の春の到来を、
桜と“お供”で迎える。

green bean to bar CHOCOLATE本店のある中目黒の風物詩といえば、目黒川に咲き乱れる桜。今年は例年より少し早めの開花予想とのことで、春の到来は、もうすぐそこ。お花見散策をいっそう楽しくするお供に、この時期限定のケーキや食べ歩きできる焼き菓子を、ただいま開発中。“花より団子”なカカオラバーズのために。

 
 
 
 

ホワイトデー限定ボンボン。
和と定番の織りなすハーモニー。

ガナッシュやプラリネ、コーティングまでぜんぶ手づくりのビーントゥバーのボンボンショコラ。ホワイトデー限定セットには、オーガニックみかん果汁のガナッシュと、上玉露玄米茶のガナッシュが登場。定番のナティーボとあんこをセレクトした4個入りセットに加え、サクラやフワンボワーズなど、この時季ならではの華やかなフレーバーを詰め込んだ8個入りセットの2種をご用意。和と定番、異なるフレーバーをいちどに食べ比べる楽しさも、ならでは。

 

<4個入り> ¥2,000円(税抜)
MIKAN、GENMAICHA、NATIVO、ANKO

<8個入り> ¥4,000円(税抜)
MIKAN、GENMAICHA、NATIVO、ANKO、GOMA、SAKURA、PASSION FRUIT、FRAMBOISE

 
 
 
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