なぜそうするのかを理解するために。

October 14, 2022

 
 
 
 

1. CACAO JOURNEY
    私たちの“旅路”をレポート

 
 

2. WHAT'S UP BOSS
    代表の安達建之によるコラム

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

greenのアドバイザーを務める
クロエさんが3年ぶりに来日した。

スタッフ研修の一つ
カカオ豆テストの日。
新しい豆をテイスティングするのだが
クロエさんは、その中に
あえて悪い豆をしのばせた。

スタッフ全員が
カカオの良し悪し、さらには
greenがどんな豆を求め
どんなチョコレートを作るかの
ゴールをみんなで共有するために。

その豆はどこから来た?
どんな香りや味がする?

この日のために、クロエさんが用意したカカオ豆は7種類。まずは色や粒揃いなどの見た目と香りをチェックする。「この中で悪い豆はどれだと思う?」とクロエさん。スタッフが迷わずこれ、と指差した豆は、明らかに他より黒ずみ、かすかにカビの匂いがする。「当たり。これは湿気が多い場所に長いこと置かれていたのでしょう。色が黒いのは過発酵によるもの。表面の白いのはカビです。豆が悪ければ、どうやってもおいしいチョコレートは作れません」

ただし、カビがわずかについているくらいなら、絶対にダメということはないとクロエさんは続ける。例えば、と取り上げた二つのカップは、どちらもベネズエラの「チュアオ」。フルーティで繊細なアロマを持つ、最高級のカカオ豆だ。「チュアオは、ネイチャーはパーフェクト!でもその後の管理によって味が変わってしまうこともあるの」

カカオ豆の状態をチェックしたら、皮をむき、グラインダーで粉末状にする。ここで確認するのは色、香り、味。同じ光の下で色を見て、カップの中から粉をかき出して香りを嗅ぎ、テイスティングは砂糖なしと砂糖入りで比べてみる。砂糖の分量は、カカオ分70%のチョコレートに近づけるため、カカオの粉と砂糖を7対3の割合に。スタッフとともに手を動かしながら、クロエさんはとても細かく指導する。

先ほどの二つのチュアオはといえば、まず色が違う。口にすればその違いは歴然。よりいいほうはグレープフルーツのような香りがあり、フルーティでエレガントな印象だ。クロエさん曰く、チュアオは75ほどの遺伝子がミックスしているため、収穫年やロットごとに味わいが違う。常に品質が安定しているカカオもあれば、チュアオはいつも違うから、ロットナンバーまでしっかり記しておく必要がある。

「鉛筆の芯みたい」「ゴムのような匂い」とスタッフに不評だったのは、研修用にとクロエさんがあえてしのばせた悪いカカオ豆。これは発酵と乾燥の工程はすごくいいけれど、豆の遺伝子そのものがよくないとクロエさん。病気に強く、量産するために作られた豆。「チョコレートにして奇跡を起こすことはできないわ」

常にビジネスの
視点を持つことも大事

カカオ豆のテストをみんなで行うのは、「これはいい豆」「これは悪い」を判断するトレーニングになるため。味覚も好みもそれぞれ違うが、商品としてお客さまに届けることを考えて「greenにはこれが必要」という基準を共有することが大切だからだ。

greenが必要とする豆は以下の3つだとクロエさん。

・お客さまにとって興味深い豆であること
・(アロマや味わいが)複雑で、おもしろいこと
・喜びを得られること

カカオ豆のテストで選び、店頭に並んだチョコレートをお客さまがどう評価するか。スタッフ一人ひとりがその経験を重ねながら、greenの味を作り上げていく。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Vol.125

日本が抱える本質的な問題とは

6月に訪問したエクアドルの「エスメラルダス」を使った、シングルオリジンのダークチョコレートバーが発売になりました。夕食後のダイニングテーブルで、農園の風景の動画を観ながら楽しんでいます。

2019年にシアトルでこの豆と出会い、3年かけて開発されたエスメラルダスは、爽やかな甘味と、乳酸系の香り、スパイシー系のハーブ、そしてスッキリとした発酵香が織り混ざり、複雑さがはっきりと表現されたチョコレートに仕上がっています。

前回の訪問時にカメラを回し、広大な農園や、徹底された製造過程の秘密を撮ってきました!

動画はこちら

ぜひ、動画と一緒にお楽しみ下さい!

 
 
 
 
 

世界中を旅していると、日本を客観的に見ることができる。
成田空港は未だにガラガラで、お店は閉まりゴーストタウンのようだが、アフリカはすごい人で活気がある。
エチオピアのアディスアベバ空港でトランジットが4時間あり、ラウンジに行くと、成田の3倍程ある席は満席。ビジネス客や旅行者でごった返していた。

日本から見えているアフリカの景色は、発展途上で生活もままならない動物王国といったところだろうが、そのような国々が、どうしてコロナの影響をそこまで受けずに、国境を開き、ビジネスが再開され、人口が増え、大きく発展しているのだろうか?

アフリカに比べ、日本は何もかもが整っているのに、まるで鎖国したままで、経済の縮小もスピードは増すばかりで止まることはない。

何かおかしくないか?
本質的な問題とは、なんだろうか?

まずは、目の前の問題から考えてみよう。
例えば、円安だ。

円安とは、日本円の価値が下がっていることである。日本円を持っていても、買えるものがどんどん少なくなるのが円安だ。
円安が進んで物価が上がると、単純に以前は買えていた物が、買えなくなってくる。
コロナや戦争で原材料費が上がり、そこへ円安が進むダブルパンチは、消費者へダイレクトに商品の価格アップとして跳ね返ってくる。
1000円の物が1500円になったのだから、僕らに関係するかなりの大問題だ。

昨今は、その他にも起きている問題が多すぎて、惑わされそうになる。
コロナ、戦争、宗教、経済、物価……格差や貧困まで、あげ出したらキリがない。

しかし、本質的な問題はコロナや円安ではなく、日本が過去30年間に渡り、大きな次の柱となる産業を生み出せなかったことだと思う。
いわゆるアメリカのGAFAMがその典型だが、アメリカや中国が強いのは、ITという産業を作り、新たな富を生み出したことに他ならない。
平成という時代が、「失われた30年」と言われている理由だ。

どうして日本から、新たな産業が生まれなかったのかは、色々と論議されているところだが、新たな産業を生み出そうとした起業家がいなかったわけではない。何名もの若き起業家がトライしたが、大きな見えない力で手足をもぎ取られてしまった。

日本では、新たなIT企業がサービスをスタートしても、何かの不具合が起こると、ものすごく叩かれてダメにさせられてしまう。
日本社会が成熟したせいか、社会全体が歳を取ったからか、足を引っ張り合い、細かい事にツッコミを入れ合うような、誹謗中傷する文化が出来上がってしまったのは、とても残念だ。

今僕らが住んでいる日本は、若者が自由にやりたい事を、人の目を気にせずにやらせてくれる社会ではない。若者たちは失敗を怖がり、人の目を気にして、小さく楽して成功する抜け道を探している。

僕には大きな産業を生み出す能力や、ビジネスセンスは持ち合わせていないが、覚悟を持って挑戦することの意味を、引き続き伝えていきたい。

 
 
 
 
 
 
 
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