アブラハムのカカオがgreenにやってきた。

June 2, 2023

 
 
 
 

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アブラハムのカカオ豆が
ボリビアからgreenに届いた。

いよいよサンプルテストの日。
ラボではこの日を待ちわびていた。

ワクワクする気持ちを胸に
普段と同じようにカットテスト、
ポップコーンテストを行い
実際にチョコレートを作ってみた。

さて、その味わいは!?

greenが求めるクオリティか否か

品種改良がされていないアブラハムのカカオ豆は、一般的な豆より粒が小さい。豆の状態をみるカットテストのためにカッターで縦半分に切るのもひと苦労だ。専用のボードに並べてみると、「お、意外といい感じ!」と、ぱっと見はいい印象だった。

続いて、ひと握りの豆をポップコーンマシンで加熱し、皮をむいてコーヒーミルで粉砕する。香りをかぎ、口に含むと、「あれ、ちょっと苦味や渋みが強いか」......

次は実際にチョコレートを作ってみる。苦味が強くならないよう低温でローストし、コンチングマシンにかけて練り上げていく。砂糖は全体の 25〜30%ぐらいがいいだろうというクロエさんのアドバイスをもとに、カカオ分70%のダークチョコレートを目指した。

マシンにかけること3日間。途中、12時間、24時間、36時間、とだいたい12時間ごとに少量を取り出し、型に流して冷やし固める。練り上げていくとアロマがどんどん変わっていくのだが(一般的に大きく変わるタイミングは2回ある)、このカカオはどれくらいの時間帯が一番よいかを見極めるためだ。

がんばれ、
アブラハム!

コンチング時間が異なる数枚のチョコレートを前に、みんなでテイスティングを行う。結果としては、アブラハムのカカオ豆は、greenが求めるクオリティにはまだまだ達していなかった。

チョコレートの味わいや、実際にアブラハムの発酵施設を見てきた様子からすると、明らかに「過発酵」が問題だった。過発酵だとどうしても苦味が強くなり、ヘビーな感じになる。

ただ、その苦味の奥に、繊細なアロマを感じることができた。ワイルドカカオという言葉から連想される力強さとは対極の、メロンやバナナのような、優しい味わいのフルーツの香り。コンチング時間は24時間がよさそうだ。もし今後、現地で発酵を適切に行い、十分な量のカカオを作ることができれば、このワイルドカカオの個性を生かしたチョコレートがgreenの店頭に並ぶかもしれないという光が見えた。

ラボで行われた一連のテストやテイスティングは、安達を中心に、チョコレートメーカーたちが心を一つにして行われた。安達がボリビアの旅のこと、村の環境やカカオが安値で買い取られている現状、村で協力しあうことが必要なことなどなど、自分の目で見て感じたことや夢を実現させるためのヴィジョンを共有しながら。

作り手の顔が見えるカカオで、そのポテンシャルを最大限に生かしたチョコレートを作る。チョコレートメーカーとしてこれほど楽しく、誇らしいことがあるだろうか? みな、遠く離れた地で奮闘するアブラハムに、がんばれ!と心からのエールを贈った。

 
 
 
 

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『Cacao Lovers Event』開催

来る6月7日(水)に『Cacao Lovers Event』を開催します。第4のカカオ「National」の謎を解明するため、ペルーのマラノン・キャニオンを訪問したオーナー安達の講演をメインに、ラボツアー、チョコレート試食も。カカオをめぐる世界について学べる特別な1時間です。ご応募は、6月2日(金)24:00 まで。

開催日時
6月7日(水)19:00-20:00
開催場所 中目黒本店
参加費 ¥5,500 (チョコレートバー1枚、カカオティー1杯付)
※当日お預かりします

ご応募いただいた方には、追って詳細をメールいたします。
ご応募お待ちしております!

 
 

Vol.155

ペルーとベネズエラ2023

ペルーのイキトスに来ています。
貿易の港町として栄え、今ではアマゾン川の玄関口として多くの観光客が訪れます。昔ながらの建築物や街並みには風情が残り、活気のある楽しいところです。

さてさて、そう上手くは進まないのが南米遠征。
終盤になって映画撮影も、カカオの旅も、トラブルが発生しています。その度に問われるのが体力とメンタル。撮影をしていると、必ず何か予期せぬことが起こります。トランジットのトラブルで1日分のスケジュールが飛んだり、機材の故障や悪天候、スタッフの体調不良、寝不足や疲れからの人間関係悪化など、様々です。
人は、目の前で上手くいかないことが起こると、自分がどれだけ正しいか、どれだけ頑張っているかを主張したくなるのです。人間らしい部分が出るといえば可愛いですが。

僕の旅の生活が始まったのは10年前くらいでしょうか。年々その数や期間が増えています。
それは、旅の途中で次の目的地が決まっていくからです。旅といっても何かしらの目的があり、そこに行くには時期(シーズン)があるので、自動的に年間スケジュールが決まってしまうのです。
カカオであれば、土地によってハーベストシーズンが違いますし、夏や冬、雨季といった季節もあります。日本での仕事もあるので、1年があっという間に過ぎていきます。

そんな旅の途中で聞いた、興味深いお話を一つ。

ベネズエラのカナイマ近辺のジャングルで、ベネズエラ軍は最新鋭の探査ドローンを使い、金やレアメタルなどの貴重な鉱物を発見しました。
地元のインディオたちは、文明から隔離した生活をしているため、軍が入って周辺を荒らすのを嫌がりました。鉱物を発見した軍は政府と協力し、彼らを虐殺し、鉱物を横取りしたのです。そして、周辺一帯を封鎖しました。
これがカナイマ一体のジャングルで、立入禁止区域がたくさんある理由です。

1981年9月、国民を巻き込む一大スキャンダルが起こります。

若き医師ライザ・ルイスの悲劇は、9月1日、彼女と3人の男性が乗っていた小型飛行機が機械的なトラブルを起こし、コロンビア国境に近いベネズエラ・アマゾナス州のジャングルの奥深くに墜落したことに始まります。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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