WHAT’S UP BOSS SPECIAL 太陽と闇。ベネズエラの真実。
July 15, 2022
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1. WHAT'S UP BOSS 2. NEW TOPICS |
WHAT'S UP BOSS SPECIAL 今号はgreen bean to bar CHOCOLATE代表・安達建之コラムの特別編です。 |
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太陽の光が降り注ぎ、トロピカルな果実が実り、人々は歌い笑いながら踊る国、ベネズエラ。 30年間の独裁政権の中で国民は苦しみ続け、今もなお裏切られ続けるのも同じ国の話である。 滞在中、200以上の人に会い、話を聞くことができた。ベネズエラの現状とリアルな現実をお伝えしたいと思う。 (経営者、村長、先生、レストランオーナー、料理人、書店員、カフェ共同経営者、農夫、漁師、弁護士、スラム街のリーダー、85才のお婆さん、ボランティアスタッフ、チョコレートメーカー、グラフィックデザイナー、植物園オーナー、美術館スタッフ、旅行者、その他多数) 首都カラカスから車で20分行くと、Petare(ペタレ)という貧困街がある、いわゆるスラム街だ。 スラム街の人口は増え続け、周りの山は住人達が建てた住宅に覆われ、いびつな形をなしている。 |
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友人であり、green のパートナーでもある Maria Fernanda と Chloe Doutre Roussel に連れられて、ペタレに暮らす20人程の女性グループに会いに行った。 UNHCR (United Nations High Commissioner for Refugees) がサポートするこの女性グループは、単身で沢山の子供を育てている人(夫は家出か、逮捕されている)、または、夫から暴力を受け保護された人達の集まりである。 Maria はUNHCRと協力し、この女性達が自立し、お金を稼ぐ力を付けるための、チョコレートのクラスをスタートさせた。 もちろんスラム街には職がなく、お金を稼ぐこともできない。 多くの男性は、知らない間にペタレから姿を消してしまうという。 ドラッグにアルコール、窃盗は当たり前のように起こるのがスラム街、負の連鎖が止まらずに、貧困が貧困を呼んでいるのだ。 スラムに住む女性達は、僕を家まで連れて行ってくれた。迷路のような細道を抜け、階段を登る。トタンの屋根からは雨水が垂れ、ネズミが走り回る。よそ者が来たな、と、見張りをしている住人達に、僕は引きつった笑顔で挨拶をしながら、彼女の後をついて行く。鉄製の扉を開け、部屋の中に入り、キッチンのドアを開けるとそこは崖の上で床はなかった……。 |
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それでもまんべんの笑みで、「気をつけて、ここがキッチンで、そこのソファに座ってリラックスしてね」と、一つ一つ家の中にある物を楽しそうに紹介してくれる 4人の子供の横に無理やり座ったが、ちょっと居心地は悪かった。 |
ベネズエラで有名な植物園 “Jardines Ecologicos Topotepuy”(エコロヒコス・トポテプイ庭園)のオーナー Cury Bottome さんは、植物園を通して再生可能な街作りを子供達に教えている。 植物と昆虫がどうやって生存しているのかという、多様性を植物園の中に作り出し、園と自然を対比させ、僕らが自然とどう向き合うべきかを問いかけている。 |
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彼女の夫は、ベネズエラを代表するTV局のオーナーだった。TV、ラジオ、エージェンシーなどのエンターテイメント事業から、航空会社やホテル、バス会社など、数多くの企業を生み出した一大企業家だ。 その彼がある日を境に、全てを失うこととなる。 |
ウゴ・チャベス 第53代ベネズエラ共和国大統領 長きに渡って続いていた独裁政治から、やっと抜け出せると信じた国民は、チャベスを真のヒーローだと信じ彼に熱狂した。 しかし現実は違った…… 。政治は腐敗し、インフレが何度も起こり、マネーロンダリングが横行する。 公約であったはずの医療体制の充実や保険制度、教育の立て直し、インフラの整備など、守られたものは一つも無かった。 圧倒的勝利を収めて当選した直後、マスメディアの代表達が政府の会議室に集められた。 会議の場で、「プロパガンダには協力出来ない」と反対したのが、Cury さんの夫だった。 今でも毎日、植物園に通う Cury さんは、この園を続けていくことだけが私の戦いだ、と力強い笑顔で語ってくれた。 2年前にチャベス大統領はこの世を去ったが、政権は維持されたままである。 |
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スラムに一番近いバス停も、もう少し先まで伸ばせば多くの人が山道を重い荷物を持って歩かなくてもよくなるのに。 国内の移動にも制限をかけ、国際通話は今でも国内からかけることは出来ない。会社を作る事は出来るが、大きくなると必ず政府の邪魔が入るという。 それは突然の営業停止であったり、駐車場を閉鎖しお店に入れなくしたり、といった嫌がらせである。 一方、政府寄りである、ほんの一握りの人達は、使い切れないほどのお金を持ち、高層ビルをいくつも街中に立てている。 もちろんRentする人はいないのに。 さて、いったい僕らに何が出来るのだろうか? スラム街を訪れ、改めて僕には力がなく、彼女達の助けになることはできないのだと、落ち込むしかなかった。 せめて、この現実を読者の方々や、子供達、学生達に伝えていこうと思う。 別れ際、彼女達は輪になり笑顔で歌を歌ってくれた。すごく温かい気分になった。 |
チョコレートで繋がっている輪を、広げていこうと思う! |
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