ほうじ茶バーが生まれた「うきはの山茶」を訪ねて。

August 12, 2022

 
 
 
 

1. CACAO JOURNEY
    私たちの“旅路”をレポート

 
 

2. WHAT'S UP BOSS
    代表の安達建之によるコラム

 
 
 
 
 

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福岡店限定のチョコレートを作りたい!
そんな思いから2020年8月に誕生した
「福岡 -ほうじ茶-」

2年経った今でも福岡店で
つねに1位2位を争う人気のチョコレートだ。

おいしい焙じ茶を求めて巡り合ったパートナーは
新川製茶の「うきはの山茶」
有機栽培歴 50年を誇る茶農家である。

どんな風に、どんな想いで育てているのだろう?
福岡県うきは市にある茶畑を訪ねた。

豊かな自然の恵みとともに
いのちを養う茶畑。

昔ながらの土蔵造りの建物が軒を連ね、白壁の町並みが残る福岡県うきは市。どこまでも広がる田園には一年中多彩なフルーツが実り、水源の森100選に選ばれるなど自然に恵まれた土地だ。

ここで茶農家を営む「新川製茶」は、有機栽培歴 50年。土づくりにこだわり、農薬や化学肥料に頼らずに、安心安全な茶葉を栽培している。三代目の樋口勇八郎さんに茶畑をご案内いただいた。

「お茶を作りはじめたのは、1955年のこと。祖父がここ新川地区で生産し、八女茶として販売していました。その後父が引き継ぎ、母も手伝っていました。収量を増やすために畑を拡げると、農薬を使う量も自然と増えてしまいます。当時はまだ農薬が及ぼす危害についてほとんど知られておらず、毒性が強いものがまだ残っていました。使うたびに、両親ともに体調を崩してしまって。これをきっかけに1973年から、無農薬でやってみよう!と、有機栽培のお茶作りへと大きくシフトチェンジしました」

お茶づくりを、土づくりから。

無農薬で栽培することは、決して容易いことではない。標高やその土地の気候風土、作物の生理など複雑に絡み合うさまざまな条件を見極めた上で栽培法を確立しなければならないからだ。年に何度も栽培法が試せないため、毎年毎年、試行錯誤の連続だったそうだ。

「時代は高度経済成長期、大量生産品を生み出すために農薬を使うのが当たり前だったので、まわりから変り者扱いされていました。それでも父は化学的でなく、漢方のように自然のバランスを模索し、虫を殺すのではなく寄せつけないにはどうしたら良いかとニンニクや柿渋を使って試していました。これらが今の土づくりに繋がっているんです。私たちが使っている肥料は主に植物性のボカシ肥料。油粕や米糠などと土や籾殻を混ぜて微生物を入れて発酵させて作ります」

新茶のシーズンに向けて、ボカシ肥料を撒くのは2月から。「土の中で根を傷めないように、軽く発酵させてから撒くので、分解が進んでいる分、栄養として吸収されやすいんです。春先にはそこら中にヒヨコグサが生えて、緑の絨毯のようになるんですよ。茶の木にもじっくりじっくり分解されながら、新芽に栄養がいきます」

有機栽培で一番苦労するのは草取りだそうだ。殺虫剤も除草剤も使わないので、すべて人力、手作業で行う。「雑草はできる限り取った方が良いんですけど、少し残してあげます。虫の休む場所も必要ですから」

そう言えば、畑をよくみると、ミツバチが飛びまわり、てんとう虫やカマキリが顔を出している。

「カマキリは広範囲に移動して、小さな虫を食べてくれます。私たちにとって、虫たちも勤勉な労働者なんです。農薬や化学肥料を使えば、即効性はあるけれど、土の力がなくなって、表土が堅くなり、根が窒息してしまう。それよりもそこに住む生きもののバランスに委ね、自然界のピラミッドを壊さない方法を選びたい。生態系が保たれたこの土の中には微生物がたくさんいます。ミミズや微生物が動きまわってくれるので有機物が見事に混合され、土は豊かに、ふっくらと盛り上がり、立派な土に仕上がります。それにより甘味や旨味がぐっと引き立ち、安心安全で、良質の茶葉に育ちます」

日々飲むお茶だから
安心して飲めるものを

素材の成分をそのまま抽出するお茶は、茶葉の質がかなめ。生活者が安心して飲めることが第一だ。「日々飲むお茶がおいしくて、それが無農薬で作られていたらうれしいですよね。そうやって有機栽培のお茶が生活の一部になれたら、という思いで作っています」

新川製茶のブランド名「うきはの山茶」には、この土地である誇りと、野性味が込められている。自然とともに生き、茶園一圃場一圃場、茶の葉一枚一枚に至るまで、責任を持って生産している証である。

greenのチョコレートと同様に、有機栽培で作られるお茶も大量生産できるものではないから、そういったものを好む人に大切に届けたい。「福岡 -ほうじ茶-」は福岡店のほか、オンラインでも購入可能。大自然の恵みから生まれたカカオと有機の焙じ茶、双方のハーモニーをぜひお楽しみください。(次号へ続く)

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Vol.116

南米の旅を終えて

6月末からの南米への旅を終え、日本へ帰国しました。

コロナでチョコレートの世界がどう変わったのか、個人的雑感を含めお伝えしたいと思います。

2020年3月、サンフランシスコで開かれた「Craft Chocolate Festival」を訪れていた時、日本では大型客船内でコロナが広まり、大変な騒ぎになっていました。

あれから2年半、チョコレートの世界はどう変わったのか? 今回はそれを見に行く旅でもあったのです。

このコラムでもよく話していますが、人生で大切なことは“リサーチ”だと思っています。
実際に自分の足で現地を訪ね、人と会い、そこから感じたことを元に判断したり、次の展開を考えたりしています。

2007年にNY・ブルックリンで、Rick Mast と Michael 兄弟が職人気質のチョコレートショップ 「Mast Brothers」をオープンさせます。

当時のアメリカでは、大量生産品への対抗運動としてクラフツマンシップへの回帰が盛り上がっていて、ファッション、お酒(クラフトビールやウイスキー)、コーヒー、バーバーなど、あらゆるジャンルに広がっていました。

その波に乗ったのが Bean to bar であり、その火付け役になったのが「Mast Brothers」です。

伝統的な手作り製法と、こだわりのカカオ豆、スタイリッシュでモダンなパッケージや店舗のしつらえは、ニューヨーカーを虜にし、多くのメディアが取り上げたことで、彼らはスター街道を駆け上がって行きました。

Bean to barムーブメントから約15年、その間に努力と運を引き寄せ、成功したトップブランドが各国に登場しました。

それぞれのトップブランドは互いにクオリティーを競い合い、世界中の農園から珍しいカカオを発見し、仕入れ、情報をシェアしながら、オリジナリティの高い商品を開発してきました。

僕はそんな Bean to bar の世界が好きで、秋のショーレースや、チョコレートフェスティバルで各ブランドに会う度に、「こんな味のチョコレートを作ってるんだ!」と驚かされ、刺激をもらっていました。また、互いに次のアイデアを話し合っては、開発意欲を掻き立てられていたのです。

しかし、コロナがブランドの方向性に変化を与えています。

いくつものトップブランドが、ファクトリーを大きくし、体制を増強し、ライン生産でチョコレートを作りはじめました。

これは一見、企業としては正しい方向のように見えますが、一度に沢山作るのですから当然クオリティは落ちます。

コンビニやスーパーに販路を広げ、観光客へのお土産品としてショップに卸すブランドが増え、全体が大量生産、売上重視へ向かっています。特にトップブランドが。。。

多くのお客様は、クオリティの変化に気づかないかもしれませんが、僕らの眼は誤魔化せません。残念な方へ向かっているブランドを、沢山見てきています。

これは3rd wave coffee の流れと似ていて、ブルーボトルコーヒーがネスレに470億円という、破格の値段で買収されたのと同じ現象です。

大手は買収したのだから、当然出店攻勢に出ます。そしてスーパーやコンビニに商品を並べ、売上を上げ、投資金額の回収に入ります。創業者は、それまで維持してきたクオリティと引き換えに、大金を掴むのです。

少し前まで高級チョコレートだったブランドが、コンビニとコラボ商品を出したり、モールやターミナル駅に出店しているのを見たことがあると思います。あれは投資会社がブランドを買収し、一気に回収フェーズに入った合図なのです。

(実は、某コンビニ大手から来年のバレンタインにgreenとコラボ商品を出したい、と提案を貰っています。残念ながらお受けする事はできませんが。。)

一方、ポートランドの Stumptown Coffee Roasters や、サンフランシスコの Four Barrel Coffee のように地元に根差し、目の前のお客様に美味しいコーヒーを提供するという、変わらぬ日常を大切にし、圧倒的な支持を集め、拡大することだけを正義としないブランドも存在します。

これがクラフツマンシップであり、現代のメーカーズでしょう。

上場させるか、買収や資本提携に応じるか、今までの歴史が証明しているように、大抵の人はお金に目がくらみブランドの良心を売ってしまうのです。

近々、大手の食品メーカーがスタートアップのチョコレートブランドを買収する、景気の良い話が聞こえて来そうです。

一時は、ロンドン、LAにショップを出店し、一時代を築いた「Mast Brothers」ですが、今は表舞台から消えてしまいました。

そんな中、実直にチョコレートを作り、コロナや世の中の荒波を乗り越え、長く愛されるブランドを作る人が出てくることを願っていますし、僕らはその荒道を進んで行きます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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