熟成の不思議

August 27, 2021

 
 
 

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    代表の安達建之によるコラム

 

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なめらかに練り上げた
できたてほやほやのチョコレートは
果実のような
ヴィヴィッドな香りを放つ。

香りはそのあとだんだん落ち着き
味わいもマイルドに変化していく。

バーとして完成したチョコレートを食べるとき、
アロマがしっかりと感じられ、
味わいが安定していなければならない。
そのためには、数カ月の熟成期間が
とても大事になってくる。

チョコレートを
熟成させるということ

まる2日ほどかけて練り上げたチョコレートは、5kgのブロックに固め、温度と湿度を整えた保管庫で数カ月間、熟成(エイジング)をかける。

チョコレートを熟成させるとはあまり知られていないかもしれないが、じつは大事な工程の一つだ。練り上げたばかりのチョコレートはフレッシュで、ぐっと香りが立っているが、熟成させることでそのアロマが落ちつき、深まっていく。梅酒に例えれば、作ったその年は青梅の爽やかさが前面に出ているけれど、2、3年寝かせると熟成香が出て、どっしりとした深い味わいになるように。

産地ごとの味わいの違いが広がるのも熟成をかけてこそ。カカオ豆の約55%はカカオバターだと聞くと驚くが、このカカオバターにも豆の香りがあり、カカオの成分が入っている。カカオバターの結晶が落ち着くことでより一体感が出て、奥に潜んでいたカカオ豆の個性がじんわりと現れてくる。

チョコレートの香りは
時間とともに変化する!

「チュアオ」のチョコレートは、できたてはバナナの香りがする。ところが数カ月熟成させると、オレンジのような柑橘の香りを強く感じられるようになる。なぜこんなことが起こるのか、香りの成分を調べてみると、バナナの香り成分のほうが柑橘のそれよりも分子量が小さい、つまり軽くて飛びやすいということがわかった。

チュアオにはもともと両方の香り成分があって、軽いバナナの香りを先に感じ、その後に柑橘の香りが訪れるという理屈だ。じつは柑橘の香りも軽いほうで、チュアオの香りが繊細で飛びやすいのもこのため。ゆえにローストや練り上げ(コンチング)、熟成も最小限にとどめている。一方、分子量が大きい香りと言えば、ココナッツやクローブ、バニラの香り。これらの成分を持つ「ガーナ」は香りの変化が少なく、扱いやすい。

熟成をかけると、軽い香りはある程度飛ぶが、その分、重い香りを強く感じられるようになる。時間が経つことで強弱の変化があるから、厳密に言えば、熟成をどこで止めるかによって感じられる香りが異なってくる。一つのチョコレートの中に100以上もの香りがあるというから、まだまだ香りの研究のしがいがありそうだ。

 
 
 
 
 
 

Vol.77

マサイ族

マサイ族の人たちに会いに、村を訪れました。
ケニアとタンザニアに暮らすマサイ族は戦闘民族です。遊牧をしていますが、近年は国の政策で遊牧が規制され、年々定住者が増えているそうです。

僕がマサイの村を訪れたかった理由は、彼らの身体能力の高さの謎にあります。なぜあれほど高くジャンプできるのか?
狩りの時、10時間以上も走って獲物を追い続けられる持久力はどこからくるのか?
食べたいものを、好きな時に食べられる状況ではない彼らが、どんな暮らしをしているのか、その秘密を知りたかったのです。

男性は狩りをし、女性は家事をするのですが、女性の仕事は大変です。
朝の乳搾りから始まり、放牧、数キロ先まで行っての水汲み、その後は薪を集めて、ご飯の準備に洗濯と、休む暇のない体力勝負です!

一夫多妻制で、基本家族とその仲間達と一緒に暮らしています。
家の壁は豚の糞で作り、ワラで屋根を作る。家の中には窓がないので、僕には真っ暗で何も見えませんが、彼らには見えているそうです。数キロ先まで見えるというから、やっぱり凄い!

マサイの食事は1日1食です。
朝は、ヤギのお乳を使った、ミルクティーに近いものを飲みます。
お昼は取りません。キブユと言うひょうたんでできている水筒を腰にぶら下げていて、中には牛乳を入れているのですが、2〜3日すると自然発酵しヨーグルトになるので、お腹が空くとそれを食べたり、自家製のビーフジャーキーを食べているそうです。
夜はお肉を中心にタンパク源をとり、スープを飲みます。

マサイは、糖質制限食をしていました。タンパク質と脂質(油)が中心で、余計な糖分を体に入れないことで、糖からのエネルギーではなく脂質からのエネルギーでエンジンを動かしていたのです。僕らの体は、糖分を多く取り込むと、血糖値が一気に上昇します。上がった血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌され、血糖値を下げます。これが血糖値スパイクです。血糖値が1日に何度も急上昇しては急降下を繰り返すのは、当然体に良くありません。

糖は油よりも早く使い切ってしまうので、長く走っているとエネルギー切れを起こします。
僕らの生活でいえば、朝食に、パンにジャムを塗ってコーヒーと一緒にいただくと、10時半頃にはお腹が空いてしまい、何か甘い物が欲しくなる。お昼ごはんもおかわりしたくなり、その後は眠気に襲われる……。これが、血糖値スパイクが頻繁に起こっている証拠です。

マサイは、脂質を燃やし続けることにより、長時間走ることのできる超持久力を手に入れていたのです。

戦闘民族恐るべし!

 
 
 
 
 
 
 
 
 

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日本初上陸のカカオ豆
待望の発売まであと1週間!

日本のビーントゥバーチョコレートブランドとしては初めての取り扱いとなる、ペルー・ウカヤリ地方のカカオ豆。コロナにより幾度となく道を阻まれ、入荷にいたるまでじつに1年半以上の時間がかかりました。
待望の新しいシングルオリジンチョコレート。来週いよいよ発売です!

 
 
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