抹茶ガトーショコラ作りの現場から。

April 15, 2022

 
 
 

1. CACAO JOURNEY
    私たちの“旅路”をレポート

 
 

2. WHAT'S UP BOSS
    代表の安達建之によるコラム

 

ビーントゥバーのチョコレートと
宇治抹茶の両方の個性を生かし
しっかり焼き締めてありながら、
舌の上でさらりと溶ける。

greenらしい抹茶ガトーショコラの
レシピは完成したが
それを毎日同じクオリティで
作り続けるのは簡単ではない。

ラボにお邪魔すると、
動きに隙がないアスリートのような
作り手の姿があった。

生きもののような
チョコレートとメレンゲを相手に

「食べた瞬間、なめらかな口溶けにびっくり。ずっと食べていられる」「カカオの存在感と抹茶の組み合わせが絶妙」と、リピートするファンも多いgreenの抹茶ガトーショコラ。日本橋店・京都店・オンラインショップでの限定販売だが、日本橋店とオンラインショップの分は東京のラボで、京都店の分は福岡のラボで作られている。レシピは同じでも、オーブンの大きさや庫内の湿度によって焼き上がりが変わるため、ラボごとに工夫を凝らしている。

今回は、東京のラボでの抹茶ガトーショコラ作りに密着した。

道具を揃え、材料を計量し、チョコレートを湯煎にかけるところから作業は始まる。濃厚で、フォークを入れるとしっかりとした手応えがありながら、口溶けがいい。そんなガトーショコラを作るには、プロセスのどの段階にも決めどころがある。

まず、チョコレートを溶かす温度は50℃に。これはビーントゥバーならではの豊かな風味を熱で飛ばすことなく、最終的に生地を型に絞り出す段階での流動性を逆算してのこと。

チョコレートとバターを溶かしたボウルに、卵黄と生クリームを加え、泡立てたメレンゲと粉類を加えていく。抹茶ガトーショコラはカカオ生地と抹茶生地の2層にしているため、それぞれの生地作りを同時に進めていく必要がある。

メレンゲを合わせ、その途中で粉類を加えていくプロセスは1番の勝負どころだろう。空気(エアー)を含むメレンゲを生地にしっかり混ぜ込みたいが、ひと合わせごとにメレンゲの表情が変わって、焼き上がりのふくらみに差が出るほど繊細。混ぜすぎるとかえって生地がだれてしまうため、ここでストップというギリギリの線の見極めが大事だ。

大きなボウルを左手で回しながら、右手のヘラで切るように混ぜ合わせていく様子はとてもリズミカルでむだがない。ボウルの縁が常にきれいなのも印象的だ。ここから先、オーブンに入れるまでは、メレンゲがつぶれないよう1分1秒を惜しんでの作業が続く。

生地を絞り出し袋に移し、型に流す作業は二人がかりでスピーディに行う。1つずつ計量しながらカカオ生地の上に抹茶生地を重ねていくのだが、二つのボウルの中の生地が、ぴったり型に収まった。

オーブンに入れる際、型を並べた天板にお湯を張るのは熱をやわらかく伝えるため。上火と下火で設定温度を変え、さらに途中で温度を下げて、1時間以上かけて低温でゆっくりと焼き締めていく。焼成温度は、その日の温度・湿度により10度単位で調整している。

焼き上がったガトーショコラに抹茶をまとわせると、眩しいくらいの黄緑色に心が躍る。ただ、そのままでは徐々になじんで緑が深くなってしまう。そこでもうひと工夫。カカオバターをかけ、抹茶をひとふり。カカオバターが薄い膜となり、抹茶に水分が伝わりすぎてしまうのを防いでくれるのだ。

箱を開けると、抹茶の香りと共に美しいグリーンが目に飛び込んでくる。そのワクワクも一緒に届けられればと思う。

※日本橋店・京都店・オンラインショップでの限定販売となります。
(日本橋店ではイートインも可能)

4/8配信号 ガトーショコラと抹茶が出会って。

 
 
 
 

Vol.102

お菓子は個人的なモノでよい

食べ物で遊んではいけない、と言われて育ったが、お菓子は真面目に食べるものではなく、楽しんで食べてこそ美味しくなる。
個人的なモノだし、誰かが誰かのために作ったのが、お菓子の始まり。わがままな王様を満足させるためだったり、お母さんが子供のためにクッキーを焼いたり、あの人の顔を浮かべながらケーキを作ったり。そこには美味しさだけではなく、愛情も、ユニークさも、権力も、楽しさも、家庭の味も含まれる。

お菓子は、個人的なモノだ。

だから、現実的なお菓子はあまり好きではないし、誰のためのお菓子か分からない、味がフワっとしたケーキも好みではない。
フォルムが可愛いかったり、夢を見させてくれたり、特別感を感じさせてくれたり。毎日食べるわけではないのだから、物語が感じられるものを探している。

お菓子を作る時、素材の数が増えると難しくなる。素材一つ一つの個性を出しながらも、最後に味を組み合わせるには想像力が欠かせない。作り手が、どんな物をどれくらい食べてきたのか、経験値によるところが大きいと思う。

例えば、誰でも一度は食べたことがあるであろう、ピエール・エルメの名作“イスパハン” 。
フランボワーズ、ローズ、ライチが組み合わさるマカロンは、エルメが36才の時の作品だ。とにかく造形が美しく、初めて見た時の衝撃は忘れられない。
ローズは味も香りも強いので、使うのが難しい食材だが、フランボワーズが見事に強さを消しながら良い部分だけを引き出し、そこにライチが入ることによって、口の中でローズの花が開き、迷宮に入り込んだような感覚に陥る。
異なる素材の組み合わせで作られる、傑作の一つと言えるだろう。

これとは全く逆に、同じ素材を何層にも使うことによって、自分の知らなかった味に出会えることもある。

お菓子は、個人の思い入れや、経験、記憶を詰めることができる尊いモノなので、作る側の創造性や感性が何より重要になってくる。

僕はいつも、チョコレートの向こうに人がいて、その人に向けて作っている。“えっ、美味しい” って笑っている姿を想像しながら。

 
 

読者のみなさまからいただいた
質問に回答します。

Q.
安達さん、こんにちは!
なぜ福岡にお店を出そうときめられたのですか?
また、専門学校を開校されたのでしょうか?
福岡出身でいらっしゃるのですか?
同郷なら、なおうれしいです(^^)
下世話ですが、資金はどう捻出されたのでしょう?
お気軽にと書かれてあったので気軽に質問してみます(^^)

 
 

A.
福岡には良い縁がありまして、20年前から教育事業や飲食店など、様々なプロジェクトに携わらせて頂いています。
最初の資金は、自己資金と、周りで借りられる人に頼りました。
何か一つ成功すると信用が付き、金融機関から借りやすくなります。
日本では、ビーントゥバーなんて誰も知らなく、それ何のお店ですか?という時代でしたので、貸したい人などいなかったのです…。

僕は、借金をすることにあまり抵抗がなく、むしろ良い事だと思っている節があります。
お金に対する偏見やアレルギーがないのかもしれません。お金は、一番大切なものという考えではなく、信用を数字に変えたもの、と捉えているからかもしれません。

最初は信用がないので、貸してくれる人がいない。
今は、信用が付いたので、貸してくれる人がいる。

違いは、信用のある、なしだけです。
今では、ベンチャー融資やクラウドファンディングなど手法が増え、投資を受けられる可能性が高まったと思います。

福岡は、いつか住んでみたいと思うくらい、大好きな場所です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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